Alexander McQueen
アレキサンダー・マックイーンさんが2月10日に逝去。
満40歳没。
一部メディアでは首吊りでの自殺とされている。
レディースの「ALEXANDER McQUEEN」2010-11年秋冬シーズンのコレクションを発表する矢先の事。
数日前に彼は母親を失ったばかりだった。
大好きなデザイナーの一人。
僕が大学のときに颯爽と登場したサビィル・ロウの寵児。
うちのデザイナーやプレスのレボリューションPRの田中さん世代にとってはティーンエイジャーというとても大切な時期に影響を与えたデザイナーの一人だ。
マックイーンは1969年タクシードライバーの子供としてロンドンに生まれ、中学卒業後、パブで仕事をしていたが長く続かず、人手不足の仕立職人に見習いに入った。
彼は真のワーキングクラスヒーローだった。
僕は評論家ではないので、時代にとってのマックイーンがどの位とてつもない天才だったのかは分からない。
だが、自分が物作りをする上に於いて、やはり影響を受けているというか、感化、共感、感動をさせてもらったし、彼がいて、やはりファッションは楽しかったと思う。
コム・デ・ギャルソンの大ファンと公言していたデビュー当時の彼の姿は自分の夢でもあったし、僕自身もギャルソンのいちファンとして、彼がギャルソンのメンズのショーモデルとして、ランウェイを歩いていた写真の笑顔は忘れられない。
(ほんとにその写真は「やったぞ〜」という感じなのだ。そりゃそうさ♡)
もう亡くなってしまった素晴らしい女性、名物ファッション・ジャーナリストみどりさんからも「素晴らしい才能を持った」人物だと話を聞いて、興奮したものだ。
(僕は奇跡的に彼女の葬式に参列できたんだ。)
今、手元にみどりさんの逝去を悲しむ「コモン・アンド・センス」があるが、コメントの一番最初はマックイーンだ。
マックイーンから感じた素晴らしい気持ちはファッションに魅かれた僕の理由の一つであるのは間違いない。
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僕はマックイーンの知人でもないが、作り上げた洋服、コレクションを彼の一ファンとして紹介したい。
彼の思い出を辿るように、僕にとってのフェイバリットスタイルを2005S/S(それ以前は申し訳ない紙媒体でしか持っていないので。)以降のメンズの中からチョイスしました。
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オープニングはビョーク&マックイーンのショー、ディレクターBY アレクサンダー・マックイーンのビョークのPVから。(ビョークはPVは気にいっていなかったらしいが...)
2005SS
マックイーンの得意なミリタリースタイル。
ラペルから裾へのカラフルなパイピングがいい。
そして、デザインも興味深いんだけど、ジャケットそのものが確かな技術でつくられているのが素晴らしいんだ。
オール・イン・ワン!
僕はマックイーンはツナギ好きだと思っている。
ツナギはスーツの考え方にも近いからね。
このエアリーな素材感がパラシュート部隊よりパラシュートそのものを想像させるよ。
全身同じカラー、ツナギのような、「洋服は第二の皮膚」という陳腐になってしまった言葉があるが、マックイーンのスタイリング、デザインは本当の意味でその言葉がピッタリ!!!
ブーツもカッコいい。
闘牛士のようなジャケットも割と頻繁にループされるフレーズのひとつ。
真っ白い闘牛士って、汚れが目立つし、最高に腹をくくってるって感じるよね。
こういったハードコアなスタイルはいい。
今のジバンシィ等に受け継がれているように僕は感じている。
モデル選びもニュアンスが近い気がするし。
ヴィヴィアンの「アングロマニア」あたりのシーズンがどっかにひっかかったような感じもする。
ずいぶん攻撃的なミスターアメリカの登場だ。
いや、アンチアメリカか、こういう輩には近づかない方がいい。
君がリベラルだと主張するなら余計にだ!!!
見抜かれるぞ!!!
トップスの派手さに目がいきがちだけど、これはボトムが好きなんだ。
色合いと風合い。
ハイウエストもいい。
バイバイ、マックイーンでもまた次回もあえるよ!!!
2005-2006AW
ロングのライダースってレディースライク。
マックイーンは繰り返し使うけど、太めのパンツはバランスが難しい。
ディースクエアードかと思ったよ。
でも、やっぱりマックイーンらしい知性がある。
静けさがあるから。
そこがいいんだ。
再び、オール・イン・ワン。
素材はレザーなのかな、僕らもレザーのツナギを2009AWでつくった。
カーキグレーの珍しい色を選んだ。それは僕らのお気に入りのピースなんだ。
シーズンが終わってから、JUNK LOUDの坂本さんは自分が欲しくて別注してくれたんだ。
ありがとう気に入ってくれて、僕らは大喜びだ。
2010AWはシックなレザーツナギをつくるので、マックイーンのこのツナギに似るかもしれない。
テーラードの拡大解釈。
サヴィル・ロウで働いていたマックイーンにはお手のもの。
このジャケットにみられるような、インサイドアウトの考えは、ティーンエイジャーが一番最初に覚えなければいけない世界の見方だ。
シンプルで美しいね。
美しいバッグが華を添えているよ。
この手のバッグは沢山のブランドからリリースされているが、これはその中でトップレベルの一つだと思う。
宗教的なモチーフもマックイーンの得意技。
彼はアブないところまでやりきる力があるけど、このコーディネイトは涅槃の二歩手前で踏みとどまっている。
宗教的なモチーフをもてあそんだだけのスタイルはよくあるけど、真剣に向かい合ったスタイルにはかなわない。さすが。
僕の高校生活を思い出すスタイル。
エンジのスーツとシャツにパツンと揃った前髪、パブで「ザ・フーのファンかい?」と聞かれてもしょうがない。
答えは「YES」だけど。
睨まないで!
悲しくなるから。
2006SS
祐真朋樹さんのPOPEYEでのスポーツミックスのスタイリングを思い出す。
そのスタイリングが好きでファイリングしてある。
僕は祐真さんのように幾つになってもファッションの事が好きでいたいね。
白いスーツは今シーズンに僕らもつくったけど、マックイーンはラグジュアリー感ただようね。
僕らは白い遊牧民がイメージ。
実はSEMBLのファーストシーズンでも白いジャケットはつくっていたんだ、その時はコットンだったので、素材は手に入りやすかった。
今回の白いスーツは特別な素材で、入手も困難なんだ。
絶妙なバランス!
素晴らしいロングコートの丈。
色合いも最高だし。
憧れる。
宗教的な匂いがするニット。
「着れない洋服は意味がない。」と言うけど、服づくりはそんなに単純でないと思っている。
僕が思うに、単純で強いインパクトのある言葉にはほとんど真実は含まれていないもんさ、だってあまりにも気軽に分かった気になるだろ?
大型店で「選ばれない洋服」は見た事ないかい?
そっちの方はあまり言われないけど。
いかれたエルビス。
ドロドロに溶けた継ぎ接ぎだらけの「監獄ロック」を聞いてみたい。
クール!!!
でたーっ!!!ボタンモンスター。
ヤバい!!!
洋服がアートかアートじゃないかという議論は個人的には興味がある。
でも、興奮して自然とアートだ!!!と、言っちゃう洋服あるからね。
このオール・イン・ワンを初めて見たときのように。
パイレーツルックでライダースを組み合わせるコーディネイトはヴィヴィアンやガリアーノを思い出す。
海賊は海の暴走族みたいなものだから相性がいいんだね。
2006-2007AW
このスタイルは(前後のスタイルが)ジゴロっぽいんだけど、これは海賊に見える。
ジゴロより海賊の方が僕は好きだ。
ハイウエストパンツに折り曲げたベルトの先が短刀の鞘に見えるよ。
レイヤードされたストールが面白いし、ジャケットを半分だけ着るというのはだらしないヤツみたいでいいね。
ただ、脱ぎかけをフォトグラファーが撮ってしまっただけなのかもしれないけど...
2007SS
大きな襟のスタイルは結構苦手なんだ。
古着のウエスタンシャツは好きだけど...
このシーズンはそういった大きい襟ばかりだが、こんな民族的な匂いのするトップスは大好き。
このスーツスタイルもいいね。
テーラードの襟の切り替えも効いてる。
ビジネスでデザインスーツを着ていけない風潮がとても残念だよ。
僕は仕事が楽しくなると思うんだけど。
ここでちょっとインターバルをとろう。
デビット・ボウイのマックイーンが手がけたジャケットを紹介するよ。
ライブのビデオはソニックユースと一緒にやっていて好物どうしのセッションなんだけど、ボウイは僕は、「ヒーローズ」以降は苦手で聞かないんだ。
ボウイのベストは「ハンキー・ドリー」、「ロウ」だと固く信じてるよ。
2007-2008AW
このブルーの色!!!
やっぱり、コレクションブランドでオール・イン・ワンと言えばマックイーンかアダム・キメルだ。
ヨーロッパのバイカースタイル。
アメリカの黒々としたワイルドなバイカーの感じもいいけど、トヨタとか高級車のCMで使われるヨーロッパの風景を走り抜けるバイカーというのも悪くないと思う。
秘密諜報部員。バックに手榴弾とか入ってそう。
これは今、好きなスタイルかもしれない。
ファッションテロリスト。
確かアニエス・ベーとかハナエ・モリさんが若い時にフランスで一緒にやっていたグループが「アサシン」とかなんとか言ったような気がする。
いつの時代もトップクリエイターはテロリストみたいなものだ。
バイバイ、マックイーン、別れが近くなってくるのがとても寂しいよ。
2008SS
テッズスタイルだが、僕はマックイーンはギャルソンを意識したのではないかと勝手に思っている。
それの方が、ハートが熱いし、幸福な気持ちになるよ。
泥酔したロカビリー少年。
笑顔!!!
2008-2009SS
このセーターの首周りの飾りは確か金属だったと記憶している。
じゃなきゃ、僕のミスチョイスだ。
ナンバーナインのようなレイヤードスタイル。
両ブランドとも素晴らしいブランドだ。
遊牧民、カウボーイ、インディアンといった生涯が旅というイメージはいつでもいいインスピレーションの源だ。
僕は別の何者かになりたいという欲求を捨てきれない、哲学者が言うように結局は自分自身に帰結したとしても...
「変身」願望がファッションの魅力の一つである事は否定できない。
2009SS
ヘルムート・ラングや今のアンダーカバーの匂いもする。
袖無しのテーラードの未来感のあるスタイル。
ジル・サンダーの匂いも感じるミスタースポックの最新版スタイル。
気づいていると思うけど、これも袖無しテーラードだよ。
2009-2010AW
「時計仕掛けのオレンジ」を想像してしまう。
杖で一突き、グローブに赤い血が...
鎧のようなベスト。
2010SS
黒いジャケットをペイントしたようなジャケット。
マルジェラっぽいね。ギャルソンでもあったような...
ジャクソン・ポロックのようなオール・イン・ワン。
靴までも。
2010-2011AW
宗教世界、精神世界のような柄が沢山のラストシーズン。
何となく、ナンバーナインのラスト2回のコレクションのような雰囲気も漂っているような気がするが、最初に見たときは別にそういう風に感じなかったから、気のせいかもしれない。
ただ、12シーズンを見返して、このシーズンはかなり内向的に掘りさげているように感じる。
マドンナ
「リー・マックイーンはファッション界において並ぶもののない真の預言者でした。まさに美の創造者でした。何という悲劇でしょう」
フィナーレは薬物スキャンダルでの支援も記憶に新しいケイト・モスとの美しい瞬間だ。
ホント、胸にくるよ。くそったれが。
与えてもらった感情は宝物です。ありがとうございます。
〈アレクサンダー・マックィーン年表〉
サヴィル・ロウのアンダーソン&シェパード、ギーブス&ホークスで計3年間仕立てを学び、ロンドンの舞台用の衣装を扱うバーマンズ&ネイサンズでキャリアを積む。
その後、コージ・タツノの元で働くが、間もなくコージ・タツノが倒産。
これを機にイタリアに渡り、ロメオ・ジリ等の下でキャリアを積む。
その後、ロンドンに戻り、名門セントマーチンズにパターンカッティングの講師として雇われる。
このとき若干21歳。
また、その間セントマーチンズの大学院課程を卒業する。
1991年、卒業コレクションの時に、「ヴォーグ」のエディターの目に留まったことがきっかけでデビューが決定。
1992年 自身のブランド「アレキサンダー・マックイーン」を立ち上げる。
1993年 ロンドン・コレクションにてデビュー。
1996年 ジバンシーのデザイナーに大抜擢される。
ブリティッシュ・デザイナー・オブ・ジ・イヤーを受賞。
若干26歳での受賞だった。
1999年 カジュアルライン、「マックイーンズ」を開始。
2000年 マックイーン社株をグッチのグループ運営企業に売却し、傘下に入る。
自身のブランドでグッチについたため、ジバンシー社の親会社に当たるLVMHと喧嘩別れとなり、契約期限の終了前にデザイナーを更迭される。
2002年 S/Sより自身のブランドをパリコレクションにて発表。
同年「ハンマツ・オブ・サヴィルロー」が縫製するクチュールのメンズコレクションを発表。
2003年 英国女王から上級勲爵士(CBE)を授与。
2006年 S/S、プーマとのコラボレートでコレクションを発表。
2006年 S/Sからセカンドラインでトレンド指向のカジュアルウェア「マック(McQ)」をスタート。
同年、英国赤十字のチャリティのためにブシュロンとコラボレートしたノヴァック・バッグを発表。
2007年 S/Sシーズン、サムソナイトの高級ラインであるブラックレーベルとのコラボレーションで、クロコダイルのレザーを使用したキャリアケースなどが発売された。
2009年 ターゲット(Target) との限定コラボライン「McQ Alexander McQueen for Target」を発表。
2010年 2月10日逝去。
アレキサンダー・マックイーンがジバンシーに抜擢されたコレクションは、周囲から酷評されました。
新聞雑誌などのインタヴューにて、本人もその時期は精神的につらかった時期と語っています。
例えば、オートクチュールにモデルを使わずにマネキンを使用。
これはクライアントの年齢層を考えると若いモデルよりもイメージしやすいからという理由でした。
その他、ファッションショーでもモデルの顔にペインティングをして、モデルの感情・表現力を取り払うスタイルをとるなどしました。
マックイーンは「まず、ブランドの歴史やユベール・ド・ジバンシーの時代を全て忘れることからはじめたんだ。」との本人のコメントにあるように、自分流のデザインをしていきました。

